Last Updated on 2020年11月20日 by Hito
最近のTOEICの平均点を見ていたところ、面白い傾向を見つけました。なんと、2020年9月、10月のTOEIC平均点が過去の平均点より約50点高くなっているのです。これはTOEICテスト自体のレベルがやさしくなったのか?TOEICが公式に発表しているデータから考察してみました。
TOEICの平均点推移
TOEIC L&R公開テストの過去1年分の平均スコア・スコア分布はTOEICを運営している「IIBC 国際ビジネスコミュニケーション協会」から発表されています。
このデータからTOEICの平均点推移グラフを作成してみました。(1年以上前のデータは過去に調査したデータをもとに入力しています、また2020年4月~6月の点数は公開されていませんでした)
このグラフから分かるように、直近の2020年9月、10月の回の平均点は共に635点。一方、過去2年間の平均点を計算すると586点と求まるので、49点平均点が上昇していることがわかります。
また、スコア分布も大変興味深い変化が起こっています。
このグラフからも点数の低い受験者が減り、点数の高い受験者が増えていることがわかります。テストの回ごとに多少変動することはあっても、ここまで大きく変わることは過去のデータを遡っても見られませんでした。
それではなぜ平均点が大幅に上昇したのでしょうか?
その前にまず、TOEICの点数計算方法について確認しておきましょう。なぜならTOEICは通常のテストのような1問何点と決まっているのではなく、特別な統計処理を行って点数を出しているからです。
TOEICの点数計算
TOEICの公式サイトによると
テスト結果は合格・不合格ではなく、リスニング5~495点、リーディング5~495点、トータル10~990点のスコアで5点刻みで表示されます。 このスコアは正答数そのままの素点(Raw Score)ではなく、スコアの同一化(Equating)と呼ばれる統計処理によって算出された換算点(Scaled Score)です。
出典:(一財)国際ビジネスコミュニケーション協会
とのことです。なぜこのような複雑な方法をとっているかというと、受験者に以下のメリットがあるからです。
- 同じ実力の人がTOEICを受けると、何度受けてもスコアは同じ(変動はあります→68.2%の確率で、本来の実力から±50点の差異が生じる)
- 1年前に受けたスコアと今受けたスコアの価値が等しい
もし1問5点などと点数の基準を固定で決めてしまうと、受験する回によっては簡単で実力以上に点数が出たり、難しい回に当たってしまって点数が大きく下がる、など受験者に不公平となってしまうのです。
そのため、TOEICは実施回やフォーム(※)毎の難易度に左右されず公平なスコアを算出できるようようにしているのです。
(※フォームとは。TOEICテストの問題の事。同じ回のTOEICテストでも複数の異なる問題(フォーム)が出題される事がある。よって受験する人によって解くフォームが異なる場合があります。)
簡単に言うと、TOEICはテストの難易度では平均点は変わりにくいように作られているということです。
平均点が上昇した理由として考えられること
テストが簡単になった
コロナの影響でテストの難易度が変わることは考えにくい 可能性低母集団(受験者)のレベルが上がった
受験者は抽選で選ばれているので、受験者のレベルが上がるのは考えにくい 可能性低- 母集団(受験者)の人数が大きく減り、統計処理で点数が上がりやすい側にシフトした
実際に受験者数はコロナ前の1/3と大きく減っている。 可能性あり
今テストを受けるのがチャンスな理由
ここまでいろいろと調べてきましたが、残念ながらはっきりこれだといえる理由を特定することはできませんでした。しかし、点数の低い受験者が減り、点数の高い受験者が増えていることは事実です。理由はいったん置いておいても、今受験するのは点数アップのチャンスかもしれません。(もちろん英語力が上がるわけではありません)
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